家族になりたい
↑前回↑からの続き
夫に、ギャンブル依存症について話す日が来ました。
私がその時決めていたのは、本人ががギャンブル依存症であることを認めて、依存症から回復したいと望むのなら私もそれをサポートすること。
だけど本人が、自分は依存症ではなく、犯罪を犯しているわけでもないのに、パチンコへ行くことをとやかく言われたくない、などと言うのであれば離婚に向けて話をする。
ということでした。
まず最初に私が夫に言ったのは、
「私はあなたと家族になりたい」
でした。
突然言い出した私にキョトンとする夫。
「え、今家族じゃないの?」
続けて私は、
「子供が欲しい」
と言いました。
なぜこんなことを言ったかというと、当時、私たちは一緒に住んではいるけれど、夫は私には言えない大きな闇を背負っている。
そして、その大きな闇に彼自身苦しんでいるのかもしれない。
それに気づいたとき、お互いの弱い部分、苦しい部分を補い合えないなんて、これでは結婚していても本当の意味で家族になっていない、と感じたからです。
あとは単純に、私はそろそろ子どもが欲しいと思ってはいたものの、結婚当初からレス気味だった夫婦生活が、借金発覚後から完全になくなっていたからでした。
そもそも夫が子供を望んでいるのかどうかも、当時の私にはわかりませんでしたし、そういった話を切り出すこと自体が、とてもハードルの高いものだと感じていました。
ギャンブル依存症(プラス嘘つきグセ)を直さないと子供を産んで一緒に育てることは困難です。
もしも夫に子供を持つ気があるのなら、依存症から回復する努力をしてほしいと思っていました。
私に「子供が欲しい」と言われた夫は、驚きながらも、
「自分も子どもが欲しい」
と答えてくれました。
すかさず私は、
「じゃあ、これ読んで」
と、事前にプリントアウトしておいたギャンブル依存症についての資料を渡したのです。
資料を見て固まる夫。
私「あなたはギャンブル依存症だと思うよ」
夫「いや、違う、パチンコなんか行かないし」
私「行ってるでしょ。見たから。全部知ってるよ。」
以前私に嘘をついてダーツバーへ行ったのが発覚した時と同じように、白を切ろうとする夫。
でも本人はひた隠しにしてきたことがばれてしまって、かなり動揺しているから、白を切りとおすことなんてできないんですよね。
結局根負けして資料に目を通すことになりました。
そして、20の質問についても答えてもらいました。
この質問のうち、7つ以上当てはまる人は強迫的ギャンブラーの可能性(要するに依存症)が極めて高いと言われています。
夫は11個当てはまりました。
そこでようやく、夫は私に黙ってパチンコへ行き続けていたことを認めたのでした。
最終的に夫は、ギャンブル依存症から回復したい、そのためにもGAに通いたい、と言ってくれました。
その資料の中で、一番夫が心を動かされたのが、
ギャンブル依存症者は、ギャンブルを死ぬほど止めたいけど死ぬほどやりたい
その一文だったそうです。
この言葉は、自分自身に当てはまると言っていました。
私の思っていた通り、夫はパチンコ屋へ通うことをやめたいのにやめられず、苦しんでいたのでした。
これを聞いて、きっと多くの人は「意志が弱い」「行きたくないならやめればいい」と思うはずです。正直私もそう思います。今でも思います。
だけど、やめられないのが依存症の恐ろしいところなのです。
どう説明したらいいかわかりませんが、
死ぬほど止めたいけど死ぬほどやりたい
この言葉は、とても忠実にギャンブル依存症者の心を表していると思います。
夫は泣きながら、「依存症から回復したい」と私に言いました。
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