義父と夫の関係について感じた違和感
前回の内容↓
夫のギャンブル依存症と、2回目に発覚した消費者金融からの借金について、お互いの両親に話す決意をしました。
1回目の時は、誰にも話さずに2人で解決を目指しました。
それから2年。同じことが繰り返された今(むしろ借金は増えている)、私は2人だけでこの状況を乗り越えられる自信がありませんでした。
借金の返済を援助してもらおうとは思っていません。
ただ、私たちが今、どのような状況にいるのかをお互いの両親に知ってもらいたいという思いがありました。
そしてその状況を知った両親が、どれだけ心を痛めるのか。夫自身に気づいてもらい、自分のしたことを自覚してもらいたいと思っていました。
義母と私の母に、まずはメールで事情を説明しました。
夫が実はギャンブル依存症だということ。
消費者金融に借金があること。
2年前にも同じことをしていたこと。
私にはもう2人だけで乗り越える自信がないこと。
〇月〇日に帰省するので、時間をとってもらいたいこと。
借金返済の援助をお願いするつもりではないということ。
義母も母も、メールを送るとすぐに電話をくれました。
義母はひたすら私に謝っていました。
一方、私の母は「まぁ、夫婦はね、色々あるわよね」という感じで、比較的明るく励ましてくれました。
いよいよ、帰省する日。
私は夫より1日早く実家に帰りました。
父とは、帰省してから初めてこの件について話をしたのですが、
「いきなり家に来ても、何話そうって困るよね?こんなことになってごめんね」
と伝えると、
「困りはしない。
二度としてくれるな(ギャンブルも借金も)とはっきり言うつもりだ」
と、武士のように答えてくれました。
お、おぉ……頼もしい…。
翌日、新幹線に乗ってきた夫を駅まで迎えに行くと、なんとスーツを着て立っている夫の姿が。
シャキーン
君は謝罪会見でも開くつもりか。
顔は緊張ですでにこわばっている。
夫はこういうところで真面目なので、みんなだまされるんですよね…(←一番騙されてる人)
母に借りた車を運転し、まずは義実家へ向かいました。
この件自体がもう2年以上も前の話なので、私自身も記憶があいまいになりつつあるのですが、とにかく2人して緊張しながら義実家へ上がりました。
お義父さんもお義母さんも同じくらい緊張してたと思うけど。
義実家では、お義父さんの家族に対するあり方や、生きていくうえでのポリシーのようなことが延々と話されました。
私はお義父さんからそんな話を聞いたのは初めてだったので、正直驚きました。
内容は、
家族に嘘をついてはいけない
調子のいいときほど自制心を働かせないと失敗する
家族はチームだ
バイオリズムを大切にしろ
いいことばかりに目を向けるな、悪いことを常に想定して動け
ほかにもたくさん言われまた。
チラシの裏側に、大切なことや説明のための図が書かれたものをあらかじめ用意してくれていたようで、それを私たちに見せながら説明をしてくれました。
なんて言うか、とにかく
「お義父さん哲学」がスゴイ。
バイオリズムなどと聞くと、なんだかスピリチュアルな雰囲気がしますが、
要は「人には調子のいいときと悪い時が必ずあるのだから、
調子のいい時こそ気をつけろ」
というような内容だったと思います。
私はこの時初めて「お義父さん哲学」を聞きましたが、どうやら夫は子供のころからこの話をされて育ってきていたようです。
「昔から言っているだろう」というワードが、お義父さんの口から何度も出ていました。
お義父さんは中学を卒業後、定時制の高校に通いながら、いろいろな仕事をしながら家族を養ってきました。経済的には裕福なお家ではありませんが、立派な家も建てているし、夫は東京の私立大学にも行かせてもらっています(奨学金借りてますが)。
私は終始「お義父さん哲学」を聞き入っていたのですが、夫の様子がどうもおかしい。
すぐ隣に座っている夫が、そばにはいるはずなんだけど存在感がないのです。
なんて説明したらいいのかわからないけど、心ここにあらずというか。
君ホントに聞いてる????
というか、
ホントにそこにいる?(魂が)
と問いたくなる。
よく考えると、その「お義父さん哲学」は夫は幼少のころから聞かされている話です。
それを本当に理解しているのなら、今こんなことにはなっていないはず。
聞かされすぎてるからか?
よくわからないけど、
たぶん夫はお義父さんの話を理解してない。
私はそう感じました。
実は私たちの結婚が決まって式の準備を進めている頃、こんなことがありました。
休日に夫に電話をしてもメールをしても返事がない。2~3時間たってからやっと連絡が来る。
何をしていたのかと聞けば、
「親父と話をしていた。今後の話。俺がまだしゃんとしてないから」と、
涙声で電話をしてきたことがありました。
それも一度だけではありません。
その当時はよく理解できなかったのですが、おそらくこの時も、「お義父さん哲学」をひたすら聞かされて(というか説教に近い)いたのではないかと思うのです。
私がお義父さんと話した具体的な内容を聞いても、夫はあいまいな説明しかしてくれませんでした。
おそらく、理解できていないから説明もできないのです。
夫はすご~くぼんやりとしか、お義父さんと話した内容を私に伝えられませんでした。
2~3時間お義父さんから哲学を聞かされていた夫は、「自分も親父のようにしっかりしなきゃ」という思いはあったものの、「哲学」そのものは全くピンと来ておらず、第三者にその内容を伝えられるほど理解していなかったのだろうと思います。
話が終盤に差し掛かったころ、お義父さんからこんな言葉が出てきました。
「わしは昔からお前を褒めたことが一度もないだろう。お前はすぐに調子にのるから」
この言葉には、夫とお義父さんとの関係がよく表れていると感じます。
またお義父さんは、
「わしはパチンコの面白さがよくわからん。行ったことはあるけど、借金してまでするようなものじゃない」
とも言っていました。
おそらく夫とお義父さんとの関係は、根深いものがあるのだと思います。
子供が一度も親から褒められないなんて。
考えただけでも心が痛くなります。
お義父さんのしつけが厳しかった話は、夫からもよく聞いていました。
子供の頃は、縄跳びを6000回飛んでからじゃないと晩ご飯を食べさせてもらえなかったという話を聞いたこともあります。
夫は義両親にとっての第一子で、1800グラムほどの未熟児で生まれてきました。
だから、「強く育てないといけない」そんな思いがあったのだと思います
また、義父の学歴や職業など、義父自身のコンプレックスから、
「周りに馬鹿にされない人間に育てなければ」
と思っていたのではないでしょうか。
夫は寡黙なタイプのお義父さんとは違い、明るく社交的で誰とでも友達になれるようなタイプです。
営業マンに向いているタイプ。そして器用で、なんでもすぐにできてしまうし、勉強もそこそこできる。
高校で始めた部活では全国大会に何度も行き、大学もスポーツ推薦で入学し、国体にも出場しました。
そういった部分が、お義父さんには「調子にのりやすい」という風に見えていたのではないでしょうか。
だから、ちょっとしたことでお義父さんの説教スイッチが入る。
あくまで私の推測でしかありませんが、夫は
「頑張っても父親から認めてもらえない」
そんな思いを常に抱えていたのではないかと思います。
毎日のように父親から叱られていた夫は
(叱られるというより、叩かれる、モノを投げられる、物置に閉じ込められる)、
自分の身を守るために自分の正当性を瞬時に示す必要がありました。
その環境が、夫が嘘をつく時の瞬発力を鍛えたのではないでしょうか。
また、夫が「お義父さん哲学」を聞いても右から左に流れてしまうのは、ある種の防衛本能が働いているのでは、とも思います。
子供は幼児期につらい虐待を受けすぎると、人の話を聞かなくなる、記憶力が低くなる、など脳の異常が現れるという話を聞いたことがあります。
私は専門家ではないので、夫がそこまで深刻な状態に当てはまるかどうかは判断できませんが、
いずれにせよお義父さんと夫との関係が、夫の自尊心の低さにつながっているのだろうと思うようになりました。
夫は大人になってからも、「家でお義父さんと2人きりになると緊張するし、何を話していいかわからない」と言っていました。
ところが、夫の2歳下の義弟は全く違います。
お義父さんに対して話をするときも、友達に話をするような口調です。
緊張感が夫とは全く違うのです。
夫が大学に行ったために、経済的理由で義弟は大学進学ができなくなったと聞いたことがあります。
もしかしたら、夫もお義父さんも、義弟に対してそのことを申し訳なく感じているからかもしれません。
義弟は義家族の間では、腫物のような存在だったように思います。
同じ家族でも、義弟とお義父さんとの関係は、夫のそれとは全く違うようです。
思い出しながら書いていたらすごく長くなってしまいました。
続きは次回に書くことにします。
最後までお読みいただきありがとうございました(^^)